高岡工芸高校生の現場見学!(前編)
高岡工芸高校土木環境科土木コース2年生の生徒は9月18日に、高岡市内の工事現場の現場見学会に訪れました。
この見学会は、富山県建設業協会が主催したもので、建設業の仕事をじっくり学ぶ座学講習から、橋梁工事、アンダーパス化の工事現場2カ所を回り、学校では学べない生の現場で建設業を体感してもらうことを目的にしています!
①「主要地方道高岡環状線道路改築橋梁上部工(5-2,3)工事」(施工=川田建設)
②「下伏間江福田線立体交差整備その3~5」(施工=その3:谷口・グランテックJV、その4:昭和・清水JV、その5:橋本・西村JV)
今回は主にこの2つの現場へ。ラボ取材班も最初から最後まで同行させてもらい、高校生と建設業の仕事を見て学んできました!
一口メモ
JVとは? →ジョイントベンチャー(共同企業体)の略。予定価格が1億円以上などの工事金額が大きい場合に、発注者がJVを入札参加要件として発注する場合がある
最初は、高岡工芸高校の実習棟「測量実習室」にて、1時間ほど座学に臨みました。
講師は、高岡土木センターの藤田実主幹、早木工業社長の早木康満さん、早木工業の現場主任加藤正和さんの3名です。進行は富山県建設業協会の寺島秀峰課長です。
藤田主幹は、現場を見学する前に高岡環状線の事業について、事業内容やこれからの工事スケジュールなどを丁寧に説明。
高岡環状線は、高岡市上伏間江~佐野の区間2.6kmの暫定2車線(将来的には4車線化)の高架橋をつくる工事。渋滞緩和や事故を減らし、能越道までのアクセスを円滑にすることを目的にしています
早木さんが建設業の仕事とその技術者の日頃の仕事について、生徒たちに解説しました。
早木工業は高岡環状線橋梁下部工(P4-3)の工事を担当
早木さん:「今日は皆さんが現場見学に出る前に少しお話をしたいと思いました。これから現場で見るものがどんな順番で造られて、どんな構造になっているかを説明します」
早木さん:「まずは建設業について。皆さん、普段生活している中で『消費税』を払いますよね?建設業が行う社会資本整備は、皆さんの税金から成り立っており、道路や用水を作ったり、水を飲めるようになったりと建設業は生活を便利にするためのインフラ整備の仕事をしています。結構、忙しくて大変なんですよ(笑)」
早木さん:「土木だけでなく、建築もインフラ整備です。駅舎や富山県美術館やTOYAMAキラリもインフラです。工事は基礎工事、鉄筋工事、型枠工事など様々な専門工事業者が協力して成り立ちます。どれか一つ欠けても現場は完成しません」
早木さん:「橋脚下部工については、基礎工事として杭を地面の中に打ちます。地面より下なので目で見えないところであるうえ、約10cmの芯の中に打ちます。この技術は並大抵のことではない。神業です(笑)これは専門工事業者と協力して行い、しっかりと収めるのが僕らの技術の見せ所です」
早木さん:「杭打ち後は、鉄筋工事です。鉄筋を1本ずつ手で組みます。機械じゃないです。びっしりと鉄筋を組むためには足場も必要で色々な道具も駆使しますので、凄い労力がかかります。温度、湿度、天候を考慮してコンクリートを打って仕上げます。たった、一つの橋脚にどれだけの時間と労力が必要か、目に見えないところにどれだけお金がかかっているか。それを皆さんに知ってもらうためにココに来ました」
早木さん:「最後にもう一つ。大規模な災害が起きると自衛隊や消防が出動しますよね。その自衛隊が救出に向かう道を整備し、準備をするのは建設業です。災害がおきた地域の地場の建設会社なんです。我々は皆さんの命、生活を守るための仕事を担う者として使命を持って取り組んでいます」
高岡環状線橋梁下部工(P4-3)(発注=富山県高岡土木センター)
工期:7カ月 工事金額:約6000万円 作業人数:600人 鉄筋数量43t
基礎部分(見に目ないところ)で係る工事金額の割合:72%
さて一行は、座学を終えて現場見学へバスで移動します!
最初の現場は、高岡環状線道路改築橋梁上部工(5-2,3)(発注:富山県土木部)の現場です。施工担当は川田建設です。
この現場は、PC(プレストレスト・コンクリート)を採用した橋脚を造っています。要は橋ですね。圧縮に強く引張に弱い性質のコンクリートではなく、予め圧縮能力を作用させるPCの技術を用いて施工し、コンクリートのひび割れを防ぎます。施工方法は、工場で製作された橋桁を現場に運び、座学で学んだ下部工の上に、大型クレーンを用いて架設します。
洗面所もあり、自宅に近いような清潔感も確保した「快適トイレ」も見学。男性用と別に鍵もかかる女性用のトイレも設置してありました。いよいよ足場の階段を昇り、いざ橋上へ!
見学後は忘れずにみんなで集合写真!
この現場で働くフレッシュな一人の女性を発見!
川田建設の谷田結香さん(入社1年目)です。
現場代理人の中野さん、そして谷田さんにインタビューをお願いしました!
ラボ
今日の現場見学会で高校生に何を伝えたかったですか?
中野さん
以前まで「土木」は暗いイメージとして捉われがちでしたが、明るい世界に入ってきていると思います。それを今日は伝えたかった。
ラボ
この現場の見所、施工するうえで難しいところは?
中野さん
橋のメインである連結部分の鉄筋や型枠を見てもらい、全体的に橋が繋がるところを見てほしいと思って今日は案内しました。PCの引っ張りや圧力、伸びを管理することがこの現場は難しい。これを覚えていくと技術者として進歩していきますね。
ラボ
建設業界に入ってみての感想は?
谷田さん
この現場は私にとって初めての現場なのですが、日々現場が進んでいくのを見るのは面白いですし、これがやりがいに繋がるのかなと思います。
ラボ
将来的にどのような技術者を目指していますか?
谷田さん
実は私、技術者じゃなくて営業なんです…(谷田さんは営業部営業課)。
ラボ
え??
中野さん
当社は橋をつくる会社なので、現場で工程を見て勉強してから、営業や業務の部署に進むことになっています。
ラボ
そうなんですね!では、それを踏まえて目標を教えてください!
谷田さん
現場の事を少しでも知っておくと、業務にもきっと役立つと思うので、日々勉強していきたいと思います。
これで午前の部は終了しました。後編は、「下伏間江福田線立体交差整備その3~5」の現場レポートをお届けします!
※余談もいいところですが、筆者のお昼は現場近くのお蕎麦屋さん「蕎文」(設計=濱田修建築研究所)で、「すだち蕎麦」をいただきました。絶品!!