建設会社のユニフォーム特集Vol.2
【藤井組編】
建設会社のユニフォーム特集Vol.2!
今回は南砺市に本社を構える藤井組さん。2019年に一新したオリジナルユニフォームは、藤井組常務取締役の藤井公嗣さんが企画立案。富山市在住の服飾デザイナー、川島真理子さん(neatDesign)がデザインを手掛けました。
今回ラボ取材班は藤井組さんにお邪魔し、藤井常務と土木部の横江翔太さん、建築部の酒谷美桜さんにお話を伺ってきました!そして、川島さんにもユニフォームが出来るまでのお話しを聞いてきました!
ラボ
まずは、オリジナルユニフォームを作られたキッカケを教えて下さい!
藤井常務
テレビや新聞で「作業員風の男が〜」と、たまに聞いたりしませんか?「土木作業員が○○した」と事件の報道で流れることもあり、作業服のイメージがあまり良くないのでは…そう思っていました。作業服やユニフォームをオシャレにすれば、業界全体のイメージも良くなるのではと思い、オリジナルのものを作ろうと。
ラボ
一見、ジャケット?にも見えるユニフォームですが、デザインのこだわりはありますか?
藤井常務
ジャケットは川島さんのデザインで完全オリジナル。上下のコーディネートがしやすいよう、落ち着いた紺色「ロイヤルネイビー」を採用しています。
ラボ
機能性はどうですか?
藤井常務
胸ポケットは深く長く、野帳がすっぽりと入るようにしました。落とさないようにフラップ付きです。全体的にポケットの量が多く、スマホやタブレットも収納できるのでとても便利です!
横江さん
ポケットに何でも入るのは便利ですね。ペン入れとしての役割も担っていて普通のボールペン、マーカー、チョークも入ります。
ラボ
後ろのポケットには、小さくロゴが刺繍されていますね。
藤井常務
これですね。後ろ身頃のポケットには、生地と同色で社員ロゴの刺繍が施されています。ロゴはあまり目立たないので、私は私服としても着ています(笑)。
ラボ
作業する上で大事な「動きやすさ」はどうですか?
藤井常務
伸縮効果のある素材を使用することで、ストレッチ性も備わっています。それに、腰道具をつけても取り出しやすいように後ろにスリットも入ってますね。
ラボ
デザインを一新してから2年ほど経ちますが、着心地はいかがですか?
横江さん
私が入社した年、このユニフォームに変わりました。これまでの作業服と違って私服感があるので、初めて会社に着ていった時に先輩から「朝帰りか?!」と言われました(笑)。
ラボ
1番のポイントはポケットですか?
藤井常務
いえ、1番のポイントは…「カッコいい!!」です(笑)。
ラボ
なるほど!カッコいいユニフォームと、最近は社屋も新しくなったことで、業界のイメージチェンジや若者へのアピールになりますね。
藤井常務
建設業を「新3K」にしようする動きがありますが、会社説明会ではユニフォームや新社屋についてPRし、「建設業っぽくない」「新しい建設業はオシャレですよ」と発信しています。
ラボ
女性目線から見てこのユニフォーム。ぶっちゃけどうですか?!
酒谷さん
就職する前は、「よくある従来の作業着を着なきゃいけないのか…」と想像していたので着るのが正直嫌でした。ただ、いざ入社してみると、このジャケットがユニフォームと知って嬉しくて!テンション上がりました(笑)。
酒谷さん
様々な企業が集まる研修会などに行くと、ウチのユニフォームが一番カッコいいなぁと思います!建設会社で働く同級生と会った時もすごく羨ましがられました。母校へ先生に会いに行った時も「カッコイイね」と言ってもらい、先生の食いつきが凄かったです(笑)。
ラボ
このユニフォームで学校に行くと目立つのはわかります!
酒谷さん
デザインも良くてこのまま買い物にも行けるし、友達にばったり会っても、「かっこいいね!」「作業服っぽくないね!」と言われることが多いので、とても気に入っています。
ラボ
建設業界の女性技術者さんに話を聞くと、「作業服のサイズが合わない」との声もあります。サイズは大丈夫ですか?
酒谷さん
サイズは大丈夫ですね。そもそもゆったりと着るデザインなので、とても着やすいです!
次はデザイナーの川島さんに、藤井組さんのユニフォームのついてもっと詳しくお話を伺ってきました!
ラボ
藤井組さんのユニフォームの特徴を教えて下さい!
川島さん
一般的なユニフォームは、フラットでペタッとした襟だったり、スタンドカラー仕立てのジャケットで前がファスナーだったり。これが主流です。このジャケットは、スーツのような上襟と下襟に分かれていてカチッとした印象の襟を採用しました。ただ、この襟だと少し堅めに仕上がってしまうので、カジュアルな印象にするために、シングルステッチとダブルステッチをかけています。
ラボ
コンセプトを教えてください!
川島さん
藤井組さんからお話をいただいた時に、「私服でも着られるようなジャケットが欲しい」との要望があり、それを基本構想にプロジェクトがスタートしました。オリジナルユニフォームは各企業の働き方に合ったデザインに出来ることが一番のメリットですね。
ラボ
機能面ではどのような工夫を?
川島さん
生地は「スパンデックス」でストレッチ性の高い素材を使用しています。襟のデザインとのバランスを考えて袖と身頃をわりと細めに仕上げ、ストレッチ性があって動きやすく仕上げています。
ラボ
藤井組の社員さんもポケットが多いことや、デザイン性の高さをとても気に入っておられました!
川島さん
本当ですか?それは嬉しいです!
ラボ
唐突ですが、川島さんにとって「ユニフォーム」とは何でしょうか?
川島さん
まず、「ユニフォームとは」の前に「衣服とは」について話してもいいですか?(笑)。
ラボ
ぜ、ぜひお願いします!
川島さん
衣服は、「ノンバーバルコミュニケーションの一つ」だと考えています。表情や声のトーンなど、言語以外の情報を用いた人間の五感によって感じるコミュニケーションの一つではないかと思います。TPOに合わせた衣服を身に着けることで「自分」を伝える重要な役割を担っています。
その延長線上で、働く空間や時間、季節との結びつきなど…仕事内容との調和を図ることが出来る。それが私の考える「ユニフォーム」です。
ラボ
建設業界はどんなユニフォームになれば業界の入職者が増えて若者に支持されますかね…?
川島さん
すごく難しい質問ですね(笑)。neatDesignで建設業界のユニフォームを考えるとすると、「控えめな主張」がポイントかなと思います。
ラボMEMO
neatDesignとは、川島さんが2017年に立ち上げたユニフォームブランド。コンセプトは「服が語る企業力」
ラボ
控えめな主張…ですか?
川島さん
藤井組さんのユニフォームは、「目立たないかっこよさ・さりげなさ」を意識しています。例えば、後ろ身頃に会社のロゴが入り、生地と同色。全然目立たないですよね。そのさりげなさがすごくカッコイイ。
ラボ
なるほど。本当に私服と同じように着られそうですね!
川島さん
私服と何が違うんだと疑問に思われるかもしれないですが、目立たなくても、着る人たちが「これを纏ってON/OF切り替えてカッコよく仕事しよう」と思ってもらえる「衣服力」のあるユニフォームをこれからも作っていきたいです!