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つくり手と巡る!富山のケンチクの楽しみ方 Vol.1 -高岡御車山会館(後編)-

つくり手と巡る!富山のケンチクの楽しみ方 Vol.1 -高岡御車山会館(後編)-

建築

前編に引き続き、高岡市の「高岡御車山会館」をご紹介します!
前編 https://www.kensetsu-labo.com/article/4241

いよいよ会館の中へ。ケンチクの目線から見る“楽しみ方”が今回も盛りだくさんです!

德田さん

山町筋の伝統的な建築「土蔵造りの家」は、母屋・中庭・蔵の3つを敷地内に保有する形態が一般的です。表から見るよりも、敷地に奥行きがあります。高岡御車山会館も土蔵造りの家の形態に倣って設計をしています。

エントランスの奥に中庭が垣間見える

ことちゃん

ホントだ!中庭がありますね。中庭のシンボリックな大きな鉢は、銅着色の技術が施されていて美しいですね。

内観ポイント①まるで宝探し!高岡の伝統工芸

金属作家 畠山耕治さんの作品

德田さん

そうです。世界的にご活躍されている高岡出身の有名な金属作家さんの作品です。

ことちゃん

・・・あ!よく見てみると窓に貼ってある衝突防止マークが螺鈿で作られていますね。

德田さん

よく気づきましたね。螺鈿で描かれている看板もいくつかあります。また、館内壁面の随所に銅板着色の技術を採用しています。

高岡漆器・螺鈿細工の武蔵川工房さんが手掛ける看板

モメンタムファクトリー・Oriiさんが手掛ける、銅板着色の壁面

ことちゃん

宝探しのように伝統工芸作品を見つけ出せて面白いですね!

内観ポイント②始まりの暗闇廊下

德田さん

それではメインの展示室へ向かいましょう。

ことちゃん

おお・・・いきなり暗闇の廊下!豪華な屏風絵と御車山の車輪の映像が両脇に迎えてくれていますね。

 

德田さん

この屏風絵は、豊臣秀吉の時代に京都で行われた「聚楽行幸(じゅらくていぎょうこう)」の様子です。要するに高岡御車山の起源、歴史の始まりです。

ことちゃん

金色に浮かび上がる屏風絵が美しいです。御車山の軋む音や祭りばやしが聞こえて、なんだかドキドキする空間

德田さん

メイン展示室に到着するまで、気持ちを高めていけるように工夫しています。

内観ポイント③迫力の360度展示

ことちゃん

わぁ、一気に空間が広がった!御車山の迫力がより一層伝わってきます。

メイン展示の御車山

德田さん

狭い空間から広い空間へと移るギャップがいいでしょ?どうすれば綺麗に魅せられるかを考えました。御車山を360度どこからでもご覧いただけるのも、こだわりのポイントです。御車山が綺麗にすっきりと見ることが出来るように、ガラスは反射が少ないものを作ってもらいました。

ことちゃん

周りがベンチになっていますね。記念写真にピッタリ。写真を撮るときの映り込みがあまり気にならないのも嬉しいです。

德田さん

メイン展示の横に展示されている「平成の御車山」は、富山県建築士会高岡支部で設計をしました。高岡市の花である“かたかご”や、古城公園の四季を表したものなど、高岡ならではのシンボルを伝統技術を使って表現しているので、こちらもぜひ見てみてくださいね。

平成の御車山

内観ポイント④見るだけじゃない展示

德田さん

2階は、御車山を体験できるフロアになっています。(※現在は感染症対策の為使用不可)

ことちゃん

お囃子体験ができたり、法被を着て撮影ができたりするスペースがありますよね。感染症が流行する前に、友人たちと遊んだことがあります。

德田さん

お!思い出に残ってくれていて嬉しいです。ちなみに吹き抜けの手すりは「さまのこ(千本格子)」をイメージしており、アルミ鋳物で作っています。

2階からも御車山を眺められる

ことちゃん

手すりのデザインにも高岡らしさが表現されているのですね。言われないとわからなかった・・・。

内観ポイント⑤展示入れ替えの工夫

德田さん

メイン展示の御車山は、4ヵ月に一回入れ替えが行われます。入れ替えの際は2階の渡り廊下が、東京の隅田川に架かる勝鬨橋(かちどきばし)のように両側に開きます。

ことちゃん

湾曲している渡り廊下を両開きに展開するのは、精密な技術ですね。

手前に向かって御車山を移動できる

德田さん

渡り廊下の設計は難しかったですね。御車山は、建物の裏側から見たガラス張りの倉庫へ運び、解体作業や次の御車山の組み立てを行います。

ガラス張りの組み立て場。地面にはレールが。

内観ポイント⑥県内最古の土蔵

德田さん

最後に土蔵を見に行きましょう。佐渡家から譲り受けた立派な蔵です。富山県内最古の土蔵と言われています。かなり傷んでいたものを修復しました。

横から見ると修復の跡がハッキリと見受けられる

ことちゃん

蔵を修復するのにも高度な技術が必要ですよね。傷んでいたことが想像できない程、丁寧に修復されていますね。

蔵では佐渡家について説明展示が常設されているんです

内観ポイント⑦日常的に活用できるスペース

德田さん

観覧チケットでは立ち入ることが出来ないのですが、高岡御車山会館には会議などに使えるスペースも併設されています。

ことちゃん

立派な「枠の内(わくのうち)」ですね!展示室以外にもこんなに立派な場所があったなんて。どんどん使ってもらいたいですね。

德田さん

地域のみなさんに活用してもらえる、町に開かれた建物であってほしいと思っています。

高岡御車山会館に込めた“つくり手の想い”を受けて、この建物を楽しむ人たちが増えていきますように。ケンチクを通して高岡の技術や資源をたくさん知ることが出来て、とっても楽しい時間でした。德田さん、ありがとうございました!

富山オタクことちゃん(德田琴絵)

PROFILE

富山オタクことちゃん(德田琴絵)

生まれも育ちも富山。富山が大好きすぎる、自称「富山オタク」。富山でアクションを起こす人に注目したメディア「#トヤマビト」を趣味で運営。富山市内のインキュベーション施設HATCHのスタッフとしてコミュニケーター・広報を担当。ライターとして、富山県内外のメディアを通して富山の魅力発信の活動の幅を広げるべく奮闘中!

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Twitter:@kotoyama_826
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