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連載記事

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ケンチクノワ

富山を拠点に県内外で活躍する個性豊かな建築家12名のリレーブログ。テーマに沿り、12名の建築家が建築設計に対する想いや考えを綴り、バトンを繋ぎます。3周目のテーマは、「基本構想が生まれるまで(アイデアとの出会い)」です。

※毎週火曜日に掲載

法澤建築デザイン事務所

法澤(ほうさわ) 龍宝(りゅうほう)

法澤(ほうさわ) 由佳(ゆか)


テーマ vol.3基本構想が生まれるまで(アイデアとの出会い)

「命名」

アイディア=名前
 私たちの事務所では建物に「名前」を付けることがよくあります。「クラハウス」、「ハウス・マッターホルン」、「一二三ハウス」(詳しくは弊社websiteをご覧ください http://www.hosawakenchiku.com)。はじめの頃は「子供を育てる気持ちで」と名前を付けるようにしていましたが、名前を付けることとアイディアを構想することは同義なのではないかと考えるようになりました。

引出し
 良い名前、良いアイディアは突然に生まれるものではありません。大切なことはアイディアの引き出し(ストック)をたくさん作っておくことだと思います。海外建築家の作品集をみること。先達の話を聞くこと。旅行に行くこと。コンサートを聴くこと。レストランで食事をすること。芝生の公園で寝そべること。知識として蓄積される引出しがあれば、いろんな経験から得られる引出しもあります。引出しは多ければ多いほど、構想過程において良いアイディアに出会う確率は高まります。

ひらめき
 お施主様から設計依頼を受け、設計案の検討へ。まず敷地を見に行き、余条件を整理し、あらゆる可能性について模型やスケッチをもとにエスキスします。その過程で約9割の案がボツになりますが、ある時、全員が「これだ」と思うアイディア=カタチがでてくる。そのときに重要なのは、敷地を見たときの第一印象、そしてこれまでに蓄積された引出し。カタチを第一印象や引出しに照らし合わせ、ベストな提案であることを確認します。

命名
 次なるテーマはコンセプト。荒削りのカタチにたいして、どのような物語(ストーリー)を描くことができるのか、設計チームでブレインストーミングを行います。物語とは、その建物で起こりうる様々な出来事をイメージし、一本の線で結ぶこと。その線こそが建物の核になり名前になります。丸や三角といった形の特徴にたいして名付けるときもあれば、敷地の固有性だったりもする。あるいは、美しいものへのオマージュの場合もある。何らかの名前を建物に与えたとき、言い方を変えるなら、核となる考え方を形に与えたとき、建物は子供のように愛らしい存在になります。

旅立ち
 いよいよ、お施主様へのプレゼンテーション。建物のプレゼンテーションはお施主様へのプレゼントでもあります。私たちは名前とそれに付随するストーリーについて重点をおいて説明します。
 カタチ(原型)をつくり、名前をつけ、育み、そしてお施主様のもとへ旅立たせていく。建物がいつまでも愛される存在であってほしいと、私たちは常に願っています。

海外の建築作品集の一例。世界では多くの「アイディア」が常に生み出されています

ハウス・マッターホルンのコンセプトシート

ハウス・マッターホルンの竣工写真。マッターホルンのように斜面に屹立する戸建住宅

法澤龍宝

PROFILE

法澤建築デザイン事務所

〒936-0023 富山県滑川市柳原32-1
076-475-5771
076-475-5770
http://www.hosawakenchiku.com

法澤龍宝

1983    滑川市生まれ
2006      明治大学理工学部建築学科 卒業
2008    明治大学大学院理工学研究科博士前期課程 修了
2011-2012  ロータリー財団国際親善奨学生として、ベルラーヘ・インスティテュート(オランダ)へ留学
2015     京都大学大学院工学研究科博士後期課程 単位取得退学
2015-     有限会社 法澤建築デザイン事務所
2018     同 代表取締役に就任

法澤由佳

1982     富山市生まれ
2005    金沢工業大学工学部建築学科 卒業
2007    金沢工業大学大学院工学研究科博士前期課程 修了
2007-   カトウアーキテクト
2009-     株式会社 金沢計画研究所 
2014-    有限会社 法澤建築デザイン事務所
2018    同 取締役に就任