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ラボ
このお仕事に就いたキッカケを聞かせてください!
田畠さん
高校を卒業して、一度製造業に就きましたが、21歳の時にセキノ興産に転職しました。入社して感じたのは、とにかく「モノ」が多い会社だなと。だから高卒も大卒も、最初は必ず倉庫に入って商品を覚えることから始めます。お客様の数も多いので、ルートを覚えるために配達業務も必ず経験するんです。
ラボ
田畠さんは元々「営業」志望だったんですか?
田畠さん
いいえ、まったく(笑)。まぁタイミングでしょうね。若い時はむしろ営業を嫌がっていました。当時はいつまでも残業しているイメージでしたし、大変そうなイメージがあったので…。
私は羽咋市出身で、入社当初は七尾店に配属になったのですが、その頃は人数が少なく、私に白羽の矢が立ってしまったわけです。下積み(倉庫、工場など)を5〜6年やって、27歳くらいで本格的に営業になりました。
ラボ
営業職を始めてから、大変なことなどありましたか?
田畠さん
そうですね。倉庫で商品はある程度覚えたけれど、お客様との接し方は全然わかりませんでした。職人さん達は当時みんな荒かったので、強い口調で怒られたり。お客様からのクレームなどにもどう対応して良いかわからず大変でした。
若いから言えないことも多くて、こちらが悪くなくても若いから言い返せない。言って良いのかダメなのかという判断もできなかったのは、自分に自信がなかったんでしょうね。
ラボ
ご自身がバリバリの営業マンに変わったキッカケを教えてください!
田畠さん
その後に東京に転勤になって、いろんなものを見て勉強させてもらったのが大きな経験になりました。出張では沖縄、島根、愛媛以外は、全ての都道府県を制覇してます。地方によってもいろんな人がいます。ほとんどの訪問先が「はじめまして」でスタートして、そこから自分のペースに持っていく。これは面白い仕事だなと思いました。
ラボ
東京では具体的にどんなお仕事をされましたか?
田畠さん
ハウスメーカーなどの本社とのやりとりが多かったですね。無印良品のMUJIの家やレオハウス、東建コーポレーションなどの大手企業を担当していました。
東日本大震災後に旭化成ホームズを担当した時は、当時旭化成さんが使ったことのないALC板金の当社商材で実験を繰り返しながら仮設住宅を作りました。板金は完成までがとにかく早いというメリットがあるんです。こうして、いろんな経験積んだことで少しずつ自信が付いてきたんだと思います。
ラボ
富山本社でのお仕事を教えてください。
田畠さん
これまでは施工者さん、つまり板金屋さんへのセールスをメインに全国を回りましたが、今は富山と石川の建築設計事務所をメインに担当しています。設計事務所を専門に回るのは当社でも初めてのことだったので、ネットや資料で調べまくって全ての事務所を回りました。
名刺とカタログを持って訪問しますが、受付に置いて終わり。ではなく、担当者に会えるまで根気強く通いました。それに1回会うだけじゃダメ。2回、3回と回数を重ねて、信用を勝ち取るまで会うという目標を立てていました。
ラボ
すごい熱量ですね…!
田畠さん
設計事務所さんとツーカーになるためにはそれくらいしないといけません。オリジナル商品も含めてとにかく商材がたくさんありますが、まず商品を売り込む前に「自分」を売り込むことが大事なんです。セキノ興産はわかるけど、あの営業マンは誰だっけ?じゃダメなんです。「田畠」という名前を覚えてもらってナンボ。
今でも多い時では1日10〜15軒、少なくても4〜5軒は回っています。もうほとんどの事務所は、私の名前を言わなくても事務員さんまでもが覚えてくれています(笑)。
ラボ
顔パスですね(笑)。
田畠さん
ただ、営業周りだけでなく、忙しい時は公共事業の見積もりが月に70〜80件も重なり大変です。自分で営業して、仕事を頂いたからには自分の仕事。図面から拾って、全て自分で見積もりしています。
設計事務所さんは時に無理難題を言ってくることもありますが、絶対NOとは言いません。信用されているからこそ、私に言ってくれるのかなと受け止めています。だからこそ、10回に1回くらいこちらからもお願いをすると聞いてくれる。そんな関係ができているので、今は手ぶらで訪問しても話題に事欠くことはありません(笑)。
ラボ
田畠さんが感じる「営業の魅力」とは何でしょうか?
田畠さん
私自身、話すことが大好きなのでこの仕事には向いていると感じます。普通の人よりも出会いが多い職業なので、一つひとつの繋がりを大切にしたい。会社の大きさで取引先を見ているわけではなく、全ていち個人で見ています。売上という数字も当然会社には求められますが、営業は自己満足の部分が大きいので、いっぱい喋ったから今日はいい仕事したなぁ〜って(笑)。
お客様からいろんな相談も受けるので、知識も必要。建築の技術的な強度や耐火性などに対しても即答が求められるので、常に勉強を怠らないようにしています。
ラボ
田畠さんの「営業の心得」を聞かせてください。
田畠さん
キャラクターでやっているから、どうでしょう…(笑)。自分の素を出すことでしょうか。どうせ仕事をするなら楽しくしたい。僕が楽しければ相手も楽しいと勝手に思ってしまう。人にアテにされると頑張っちゃうんです(笑)。
設計士さんからは夜中でもメールが来ます。「みんな頑張ってるんだな」と思うと、私も「少しでも早く見積もりをしよう!」と頑張ってしまう。
取材当日、田畠さんが打ち合わせということで、訪問先に同行させて頂きました!
訪問先は北電技術コンサルタントさん(HGC建築設計事務所)。HGC建築設計事務所の福井健太さんと矢野伶奈さんにご協力頂きました(ありがとうございます…!)
ラボ
田畠さんとの出会いを教えてください!
福井さん
5〜6年前に木造2階建ての案件で初めてお願いした記憶があります。田畠さんは「ウォーカー」ですね(笑)。
ラボ
ウォーカー…ですか??
福井さん
自らの足で稼ぐ営業マンでウォーカー。基本的にはアポなしで来られますしね。田畠さんにお願いした案件はもう数え切れないです。
矢野さん
私は2年前ほどに田畠さんと出会いました。わからないことがあれば、電話で何でも聞いちゃいます。しかも返答が早いんです!頼りにしています。
田畠さん
わからないことがあれば、打ち合わせ中であろうがなんだろうが、メーカーにすぐ電話します。会社に持ち帰るのではなく、その場で解決することを心掛けています。
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ラボ
福井さん、矢野さん、お忙しい中ありがとうございました!
ラボ
最後に、この業界を志す若者にメッセージをお願いします!
田畠さん
今建築を学んでいる高校生、大学生も本当に建築が好きかどうか、社会に出てみないとわからないものです。現場事務所で管理するのが向いているかもしれないし、図面を描くのが好きかもしれない。この業界は勉強よりも、経験と“社会に入ってからの勉強”が大切だと感じます。
また、たくさんの人の協力があって一つの現場が成り立っているので、人とのコミュニケーションが一番大事。営業も現場も、人とのつながりが全てだと思います!