辻󠄀建設株式会社
~建築・土木・舗装工事を手掛ける、総合建設会社~
連載記事
今回は、辻󠄀建設さんが富山市二俣で工事を進めている「みなみの星病院新築工事」(施主:医療法人社団・双星会さん)の現場にお邪魔してきました。
ラボ
建設の道を志したキッカケはなんですか?
砂原さん
高校は普通科でしたが、次の学び場では建築科に進みました。将来を考えた時に、「毎日同じ場所で同じ作業をする仕事はしたくない」という消去法から入りました。体を動かすのはもともと好きでしたし、身近に土木の仕事をやっている人がいて、塗装のアルバイトしたこともあったので。「建設=ものを建てる」ということに魅力を感じていましたが、それが建物なのか、橋なのかによって建築か土木かを選択するわけです。結局どちらが良いかはわからず、最後はジャンケンで建築に決めました(笑)。
ラボ
建設業界に足を踏み入れてからはどうでしたか?
砂原さん
すでに建設業界で働いている友達からは、「現場監督は大変だぞ」と話は聞いていました。新卒時は、別の建設会社に入社したのですが、やはり行ってみたら案の定キツかった(笑)。時代も時代ですが、残業代もあまり出ないし、それこそすぐに他の道を探そうと思いましたが、その時は昭和から平成に変わった頃。まだバブルでものすごく忙しかったので、大きなプロジェクトを“1年生”の私と現場所長の2人で任されたんです。
ラボ
1年目で!? かなりキツそうですね…。
砂原さん
「俺はなにをしてるんだろう…」と夜中にご飯を食べながら泣けてくる時もありました。ただ、そのプロジェクト現場はまちなかの大きな立体駐車場の建設でした。段々と仕上がりが見えてきて、完成の3日前になると、もう嬉しくなってくるんですね。色々な方が花を持ってお祝いに来てくれたり…。
特に最後、その立駐にアサヒビールの大きな看板のネオンがついた時は、本当に喜びを実感した瞬間でした。苦労したからこそ、嬉しい。その感覚を1年生で知ることができたのはラッキーでしたね。
ラボ
入社早々、貴重な経験ができたわけですね。
砂原さん
とにかく当時は忙しかったので、大小様々な現場を任されて、2~3年目には5つ程の現場を兼務していました。大手ゼネコンに出向することもあって、いろんな所長と一緒に仕事をし、「この人遊んでいるけど、さばきは上手いな」とか(笑)。すごく勉強になりましたね。その後、今の辻󠄀建設に入社してからは、現場監督としてたくさんの経験を積ませてもらっています。
ラボ
現場を管理するうえで大切なことはなんですか?
砂原さん
スーパーゼネコンであろうが、小さな建設会社であろうが、現場で働く職人さんはあまり変わりません。現場監督がしっかりしていれば、しっかりした建物ができる。担当者次第で、雲泥の差が出るんです。「良い仕事をしたい」という職人さんの能力を発揮できるように、現場の雰囲気も含めて、仕事がしやすい環境を作ってあげることを大切にしています。
ラボ
職人さんをまとめるのは大変そうなイメージですが…。
砂原さん
昔ヤンチャだった。なんて人も多いですが、そういう人は気持ちの良い人ばかりなので、しっかり話すこと、しっかり話を聞くことができれば、全く問題ないです。バカ話もしながら上手くコミュニケーションを取っています。それは部下や後輩に対しても同じで、こちらの意見を押し付けるのではなく、その人の適性やタイプに合わせて、力を引き出してあげることが大事だと思います。
現場では、材料や施工状況を写真で記録するほか、墨出し、掃除、片付けなど、あらゆる作業に汗を流しています。「工期最優先なので、肉体的に辛い時もありますが、何もない更地から着々と出来上がってくるとやりがいを感じます」と元起さん。大先輩である砂原さんについて尋ねると、「自分の目が届かない、先の細かいところまで見えていて、的確にアドバイスをくれるのでさすがだなと思います。職人さんからも人気で、誰からも悪口を聞いたことがないですね。自分も現場の方となるべくコミュニケーションを取って仲良くなれるようにしています」。
ラボ
砂原さんは、建築家さんからの指名も多いと聞きました!
砂原さん
ありがたいですね。どの建築家、担当設計者さんからの要望に対しても、言われたことが「わからない」ということだけは無しにしようと決めています。設計される方は、施工のずっと前から相当な努力をされていて、建物の仕上がりまで全て頭に入っています。
私たちは、そのレベルに急激に追いついて、難題にも応えなければいけません。勝負事ではないですが、こちらもプロとして“負けないように準備する”ということは徹底しています。
砂原さん
数年前、Stroog(滑川市)の大倉社長の自邸「立山の家」、大倉専務の自邸「ラチスの家」を同時期に並行して建てたことがありました。原田真宏さん、原田麻魚さん(MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)、吉村靖孝さん(吉村靖孝建築設計事務所)といったそれぞれタイプの違う建築家とタッグを組んで建てた家は、とても印象に残る仕事となりました。
ラボ
最後に建設業を志す学生、若者たちに一言お願いします!
砂原さん
この業界に入って32年経ちますが、毎日新しいことをやっている感覚なので、どんどんハマっています。始めたての頃は思い悩むこともあると思いますが、何か少しでも喜びを感じたとしたら、そのまま突き進んで欲しいなと。辛い時には「15年後の自分」を想像して、一踏ん張りしてみる。
そうすると、目の前のことが苦にならなくなるんです。「仕事」はある時、向こうから自分に寄ってくるもの。長く続けていると、そういった面白さもきっと見えてきますよ。