連載記事
※隔週火曜日に公開
「経験への一歩」
今回のわかもんVol.30は、SCOP TOYAMA(以下=SCOP)の運営者である「蓮町創業支援拠点運営共同体(株式会社バロン・合同会社シェアライフ富山・合同会社plan-A TOYAMA)」から、主に創業・移住促進住宅東棟と西棟の運営を携わられる合同会社シェアライフ富山の姫野泰尚さんにインタビューを!
富山県内でのシェアハウス運営の第一人者である姫野さんは、このSCOPでどのようなシェアハウス、住環境を展開されるのか??色々とお聞きしました!
ラボ
なぜSCOP TOYAMAの運営にシェアライフ富山さんが携わられることになったのでしょうか?
姫野さん
シェアライフ富山は、2009年から全国に先駆けて地方でシェアハウスの運営を行ってきました。今年で13年目になります。創業当時、富山ではシェアハウスの文化がまだまだ浸透も認知もされていませんでしたが、現在では富山県内の中心に一軒家12棟(10人以下)のシェアハウスを運営し、約60名の方が入居されています。20代から60代や80代まで年齢層は幅広いです。
姫野さん
SCOPの計画当初から、富山県がシェアハウスを整備すると耳にしていました。「シェアハウス」と聞いてしまったからには、自分がやるしかない!富山でのシェアハウスの先駆者として、そんな想いはありました。
これが携わるキッカケです。SCOP管理者代表のバロンさんとは、たまたま当時運営していたシェアハウスの一つがバロンさんの所有物件で、10年ほど運用していたご縁があったり、創業支援センターを主に管理するplan-Aさんとも今回良いご縁をいただきました。
ラボ
SCOPは一軒家のシェアハウスではなく、「団地」になりますね。
姫野さん
当社はこれまで少人数制のシェアハウスを運営し、コミュニティを創出してきましたが、SCOPは「規模」が全然違います(※SCOPは東棟・西棟にそれぞれ16戸のシェアハウス)。ただ、当社は1棟の入居者は少人数ではありますが、シェアハウス間でのイベントを月に一度開催し、交流を図ってきました。
コロナ禍以前は、シェアハウスごとにイベントを開いたり、アウトドアでは野球や釣り、サウナなどの部活動みたいな交流もあります。こうした経験とノウハウをSCOPで活かすことが出来ると思っています。
ラボ
それは楽しそうです!SCOPの隣には馬場記念公園もありますし、公園内にはテニスコートもあります。
姫野さん
シェアハウスは、共同生活で人との密な繋がりが当たり前のようにあります。シェアライフ富山の入居者で一番多いのは「人生の転機」を求める人です。何か新しい趣味や仕事を始めるよりも住環境を変えることが手っ取り早く、その人の置かれた環境を変えることが出来ます。それがシェアハウスの一番の魅力ではないでしょうか。シェアメイト達との意識や繋がりが生まれ、一緒に何かが出来る。それがSCOPでも創出できるといいですね。
ラボ
SCOP(創業・移住促進住宅)は一体どんな施設・場所になるのでしょうか?
姫野さん
「創業・移住促進住宅」と名付けられていますが、創業と移住は違うアプローチ、一色担にして考えられるものではないと思っていて、単純に「移住」を目的として考える方に創業をセットで勧めることは難しいですよね。
そのため、シェアハウスとアパートメントの戸数が一緒な西棟と東棟ですが、今回は完全に「コンセプト」で別々の色を出すことにしました。
西棟は「創業」寄りで起業人やフリーランスなど仕事中心に一日を過ごす人向けの住宅。
一方、東棟は多世代が交流するコレクティブハウスです。設計上の工夫もあったおかげで、西棟と東棟の間取りが多少違っていて、オリジナルティも出せました。西棟の家賃は創業支援センターのコワーキングの会員料が含まれています。
パソコン一台あれば、SCOP敷地内の好きな場所で仕事が出来ます。人と話したい時は人が集まるリビングやダイニングキッチンに行き、集中して仕事がしたい時は自身のシェアハウスでも良いですよね。「職住一体」の施設として、仕事をする場所を選ぶ楽しみ、メリットを最大限受けられるのが西棟です。
東棟は、「暮らし」に重きを置く人向けで、人生の余白やスローライフを楽しむ人向けの住宅になっていて、多世代型で高齢者や親子入居なども想定していきます。地方移住の受け皿でもあります。近隣住人と触れ合う機会や、移住してきて富山の文化を沢山感じられる機会を作っていきたいです。
また、多世代共生の中にあるそれぞれの年代の課題なんかをセンター棟のチャレンジャー達が事業で解決する、なんていうのもワクワクしますね。
ラボ
なるほど…!3棟は繋がっていますが、それぞれの目的や生活によって分かれてもいるわけですね。
SCOPは2017建築甲子園で日本一に輝いた富山工業高校生のリノベーションプランが基になっており、チャレンジショップのカフェには約4年にわたって富山工業高校生がワークショップで製作した椅子やテーブル、照明が設置されています。
姫野さん
建築甲子園優勝のプランが基になり、設計者の仲さんの意図があり、運営する我々の意図もある施設となっていますが、沢山の人に注目される施設に携わることが出来て嬉しいです。
高校生たちが共同生活をテーマにして、建築プランを作られたことは、私にとって嬉しく喜ばしいことでした。若くして(学生)の共同生活やシェアハウスに住むことは、暮らしながらも社会経験を得ていることと一緒だと思っています。
それぞれの当たり前も感覚も全く違う他人同士が、まず相手を尊重する、その中で自分の役割や居場所を見つける、しかし最終的に自ら思いっきり楽しむ。それが共同生活です。
社会は「シェアハウスだ!」と私はよく言っているんです(笑)。学生のうちから社会人と暮らしを共有することによって、同年代よりも社会経験は一歩も二歩もリードしますよね。
ラボ
私もシェアハウスで生活してみたくなってきました(笑)。最後に、起業を目指す学生に対してアドバイスがあればお願いします!
姫野さん
SCOPは、様々な職種や業種の人が集まり、シナジーが生まれる場所を目指していきます。こうした環境に自分の身を置けるかどうか、一歩踏み出せるかで、今後の人生に大きな影響を与えるのではないかと思います。
シェアハウスも一緒です。見学するだけでもいいですし、友人と一緒にお試しで短期間住むだけでもいいです。まずは飛び込んでみる選択をしてくれたら嬉しいですね!